無くしてた宝物

「どうせ私の声なんか、聞いてくれないんでしょ!」

黒い、鉛のような塊が、
そう叫んでいる


「私の声なんかより、
目の前にいる人のご機嫌が優先なんでしょ。
よく思われることの方が大事なんでしょ。
私はもう、いないのと同じ!!!


泣き叫ぶのも忘れていた、
その子の、
久方ぶりの声を聞いた。


胸の奥で、存在すら忘れかけていた、
自分の「感情」という名前の存在。


怒ってはいけない、
妬んではいけない、
恨んではいけない、
自己中心的な考えはいけない、
善きことしか感じてはいけない、
悪い気持ちに支配されてはいけない、
そんなことを許したら、きっと天罰が降るだろう。

聖人ような、
悟り人のような、
何事もゆるせる広い心こそ素晴らしい。

親を泣かせるようなことはもってのほか。



自分でかけた呪いで、 
蓋をし、
無視し続け、

いつのまにか無いこと無いことになっていた、
私の感情。


「自分が何を望むか」その声は聞かず、
「何がこの場の最適解か」で行動する。

評価はされても、自身はつかない。
心は満たされない。
だって、自分の声を無視しているから。
随分長いこと、そんな風にしてるうちに、
キラキラした太陽みたいな宝物を、
大砲の球みたいに黒く重たいものに変形させたいた。


ごめんね、

ごめんね、

ごめんね、


これからは誰よりもあなたの声を聞くよ


あなたを守るよ。


だから、安心して姿を見せてほしい。


あなたが誰よりも大切なんだよ。




たとえ今までの癖で、
外の声ばかり気になっても、
絶対に私は戻ってくるから。

約束する。



泣きながら、自分との対話をする。

そして、最後は、
分離していた自分とまた一つになる。


ただいま、
おかえりなさい、
愛してるよ。
2019.5.3
Mariko 

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